下町。空気が重い。作務衣の男は公園のベンチでタバコを吸っている。午後三時。男は吸殻を放り投げると立ち上がり歩き出す。ぶらぶらと無目的に。少女が病院の建物から出てくる。すれ違いざまに男は粘着質な視線を少女の顔に投げつける。透き通る白い肌、華奢で崩れそうな細い肩。手に巻かれた包帯が痛々しい。儚いものを見ると壊したくなる。男の中を残虐な妄想が支配していく。少女は舐めるような視線に気付かず家路を急いでいる。後を付ける男。彼女の住む集合団地が見えてくる。背後から感じる圧迫感に不審を抱く少女。足を速めても付き従う影。少女は走り出す。追いかける影。自分の家を目の前にして影が重なる。壊された少女。儚く消える。