気温37度。猛暑である。空はどこまでも青く地面には陽炎が立っている。川原の土手に制服の少女。純白のセーラー服に小麦色の肌。のんびり歩く。吹き抜ける風が心地よい。少女は空を見上げる。高い空に吸い込まれそうな錯覚を覚え首を縮める。平凡な夏の一日。少なくとも目に狂気の光を宿した男が少女を見つけるまでは。どす黒い欲望を隠そうともせず作業着の男は少女の後をつける。高まる興奮に顔を歪めながら。少女は背後に気配を感じ何気なく振り返る。獣･･･？　瞬間、少女の本能が身の危険を察知し体に指令を出す。逃げろ！少女は走る。土手を転がり落ちるように。世界が回り空が落ちてくる。気がつくと少女の住んでいた世界は無くなっていた。